「相続した土地、どうしたらいいんだろう…」と悩んでいませんか?固定資産税の負担、草刈りの手間、将来の子供たちへの影響…これらの悩みを解決する有効な手段の一つが「相続土地国庫帰属制度」です。この記事では、行政書士が制度の仕組みからメリット・デメリット、手続きまでを徹底解説します。あなたにとって最適な土地の整理方法が見つかるはずです。
相続土地国庫帰属制度を徹底解説!行政書士が教えるメリット・デメリットと手続きの全て
「実家を相続したけど、田舎の土地を持て余している…」「固定資産税を払い続けるのはもう限界…」
もしあなたが、相続によって取得した土地の扱いに困り果て、上記のような悩みを抱えているなら、この記事はきっとあなたの役に立つでしょう。近年注目されている「相続土地国庫帰属制度」は、不要な土地を手放すための有効な手段の一つです。しかし、この制度は複雑で、条件も多いため、なかなか理解するのが難しいと感じる方も多いでしょう。
そこで、この記事では、行政書士の視点から、相続土地国庫帰属制度の仕組みから、具体的なメリット・デメリット、手続きの流れ、注意点、そして多くの方が気になる疑問点などを、事例を交えながら、徹底的に分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたにとって最適な土地の整理方法が見つかるはずです。
1. 相続土地国庫帰属制度とは?:国の制度で土地を手放せる
相続土地国庫帰属制度とは、相続(遺産分割や遺言を含む)によって取得した土地を、一定の要件を満たす場合に国に引き取ってもらうことができる制度です。この制度を利用することで、不要な土地の管理責任から解放され、心理的な負担も軽減することができます。
「国が引き取ってくれるなんて、そんな都合の良い話があるの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、2023年末に法務省から公開された統計情報によると、申請に対する承認率は驚異の92.3%を記録しており、条件が厳しいという誤解を払拭する結果が出ています。
もちろん、申請すれば誰でも必ず認められるというわけではありませんが、この数字からも分かるように、きちんと制度を理解し、適切な手続きを踏めば、多くの場合において、土地の国庫帰属は実現可能です。
なぜ国が土地を引き取るのか?:所有者不明土地問題の解決策
国が土地を引き取る背景には、所有者不明土地の増加という深刻な社会問題があります。相続登記がされないまま放置された土地は、管理が不十分になり、近隣住民に迷惑をかけたり、災害時の復旧を妨げる原因になったりします。
国庫帰属制度は、このような問題の解決策として期待されています。国としても、放置された土地を適切に管理する必要があり、そのためにこの制度が設けられました。
具体的な例として、以下のようなケースが挙げられます。
事例1:
故郷を離れて都心で暮らすAさんが、実家の土地を相続しました。しかし、Aさんはその土地を使う予定がなく、管理も難しいと考えています。このまま放置すると、草木が伸び放題になり、近隣住民に迷惑をかける可能性もあります。そこで、Aさんは相続土地国庫帰属制度を利用して、土地を国に引き取ってもらうことを検討しています。
事例2:
Bさんは、祖父から相続した山林を持っていますが、手入れをする時間もお金もありません。このまま放置すると、森林が荒廃し、土砂災害などのリスクが高まります。Bさんは、相続土地国庫帰属制度を利用して、土地を国に引き取ってもらい、森林保全に貢献したいと考えています。
このように、様々な理由で土地の管理に困っている方が多くいます。国庫帰属制度は、そのような方々を救済するだけでなく、社会全体の利益にもつながる制度と言えるでしょう。
2. 相続土地国庫帰属制度のメリット:手放すだけじゃない、安心も手に入れる
相続土地国庫帰属制度の最大の魅力は、ただ単に土地を手放せるだけでなく、安心感も同時に手に入れられる点です。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
2.1. 国が引き取る安心感:トラブルを未然に防ぐ
最も大きなメリットは、何と言っても国が引き取るという安心感です。個人間の売買や寄付では、以下のようなトラブルが起こるリスクがあります。
トラブルの種類 | 具体的な例 | 国庫帰属制度の場合 |
---|---|---|
詐欺 | 「土地を買い取る」と言って近づき、不当に安く買い叩いたり、高額な手数料を請求したりする。 | 国が相手なので、詐欺に遭う心配は一切ありません。 |
契約不履行 | 売買契約をしたのに、代金が支払われない。あるいは、約束した引き渡し期日を守らない。 | 国との手続きは法律に基づいて行われるため、契約不履行の心配はありません。 |
所有権移転のトラブル | 寄付を受け付けたはずの個人や団体が、名義変更手続きを怠り、所有権が移転しない。 | 国への所有権移転手続きは、法務局が確実に行います。 |
近隣トラブル | 土地を寄付した後に、寄付を受けた側が土地を適切に管理せず、近隣住民との間でトラブルが発生する。 | 国が引き取った土地は、国有地として適切に管理されます。 |
国庫帰属制度は、これらのトラブルリスクを回避し、安心して土地を手放すことができる、非常にメリットのある制度と言えるでしょう。
2.2. 不要な土地の管理責任から解放:もう草刈りやトラブルに悩まない
相続した土地は、所有している限り、管理責任が伴います。例えば、以下のような管理が必要になります。
- 定期的な草刈り、清掃
- 樹木の剪定や伐採
- 不法投棄されたゴミの撤去
- 近隣住民からの苦情対応
- 損害賠償責任の負担
- 固定資産税の支払い
特に、遠方に住んでいる場合や、高齢で体力がない場合は、これらの管理は大きな負担となります。国庫帰属制度を利用すれば、これらの責任から解放され、心理的な負担も軽減されます。
2.3. 詐欺被害のリスク回避:悪質な業者から身を守る
近年、不要な不動産を処分したい人を狙った悪質な詐欺が横行しています。不当な手数料を請求されたり、価値のない土地を押し付けられたりするケースも少なくありません。国庫帰属制度であれば、このような詐欺被害に遭う心配はありません。
具体的な詐欺の手口としては、以下のようなものがあります。
詐欺の手口 | 具体的な例 |
---|---|
不当な手数料請求 | 「処分を代行する」と言って、高額な手数料を請求する。契約書には小さな字で手数料が記載されており、後から多額の請求が来る。 |
原野商法 | 「将来価値が上がる」と言って、価値のない原野や山林を押し付ける。実際には、買い手がつかず、処分に困る。 |
二束三文での買取 | 「価値がない」と言って、相場よりも大幅に安い価格で買い叩く。 |
契約後のトラブル | 契約後に、「実は条件が変わった」と言って、不利な条件を押し付けたり、一方的に契約を破棄したりする。 |
国庫帰属制度を利用すれば、上記のような詐欺被害に遭うリスクを回避できます。国が相手なので、安心して手続きを進めることができます。
2.4. 相続放棄との違い:プラスの財産は手元に残せる
相続放棄は、相続財産を一切受け継がないという選択肢です。しかし、預貯金などのプラスの財産も放棄しなければなりません。一方、国庫帰属制度は、不要な土地だけを手放し、預貯金などのプラスの財産は受け継ぐことができます。
相続放棄と国庫帰属制度の比較を表にまとめました。
比較項目 | 相続放棄 | 国庫帰属制度 |
---|---|---|
対象財産 | すべての相続財産(土地、預貯金、株式など) | 不要な土地のみ |
プラスの財産 | 放棄する | 受け継ぐことができる |
マイナスの財産 | 放棄する(借金も放棄できる) | 土地の管理責任はなくなる(借金は引き継ぐ) |
利用対象者 | 相続人全員 | 相続により土地を取得した相続人 |
目的 | 相続権を放棄し、すべての財産に関与しない | 不要な土地を手放し、他の財産は相続する |
相続放棄は、負債が多い場合や、相続争いに巻き込まれたくない場合に有効な手段ですが、プラスの財産も放棄しなければならないというデメリットがあります。国庫帰属制度は、不要な土地だけを整理したい場合に適した制度と言えるでしょう。
2.5. 相続で得た他の財産との切り分けができる
相続財産の中には、手放したくないものもあるでしょう。例えば、自宅や先祖代々の土地、思い出の品など。そのような場合、国庫帰属制度は、相続財産の一部である土地のみを選択的に手放すことが可能です。他の相続財産との切り分けができるのは、この制度の大きなメリットと言えるでしょう。例えば、以下のようなケースに対応できます。
事例1:
Cさんは、亡くなった父親から自宅と山林を相続しました。自宅は今後も住み続ける予定ですが、山林は管理が難しく、手放したいと考えています。この場合、国庫帰属制度を利用して、山林だけを国に引き取ってもらうことができます。
事例2:
Dさんは、兄弟と共同で土地を相続しましたが、兄弟は土地の管理に反対しており、話し合いがまとまりません。このような場合、Dさんは自身の相続分である土地を国庫帰属させることができます。他の兄弟は、土地に関与しなくなるため、トラブルを解決することができます。
3. 相続土地国庫帰属制度のデメリット:メリットだけではない、注意すべき点
相続土地国庫帰属制度は便利な制度ですが、デメリットも存在します。しっかりとデメリットも理解した上で、制度の利用を検討しましょう。
3.1. 手間と時間がかかる:手続きは簡単ではない
国庫帰属制度の申請には、様々な書類の準備や手続きが必要です。また、審査にも時間がかかるため、すぐに土地を手放したいという方には不向きです。具体的には、以下のような手間と時間がかかります。
手続き項目 | 内容 | 時間・手間 |
---|---|---|
書類の収集 | 戸籍謄本、印鑑証明書、固定資産評価証明書、図面、写真など、多くの書類を収集する必要があります。これらの書類は、役所や法務局で取得する必要があります。 | 数日~数週間 |
申請書の作成 | 申請書は、専門的な知識がないと作成が難しい場合があります。行政書士などの専門家に依頼すると、スムーズに作成できます。 | 数時間~数日 |
現地調査 | 必要に応じて、土地の状況を確認するために現地調査を行います。遠方に土地がある場合は、移動時間や費用がかかります。 | 半日~数日 |
審査期間 | 法務局の審査には、数ヶ月単位の時間がかかる場合があります。審査の結果、追加書類の提出を求められることもあります。 | 数ヶ月 |
専門家との連携 | 行政書士などの専門家に依頼する場合は、打ち合わせや情報共有など、ある程度の時間を費やす必要があります。 | 数時間~数日 |
これらの手続きをすべて自分で行うのは、大変な労力がかかります。時間に余裕がない方や、手続きに不安を感じる方は、行政書士などの専門家に依頼することを検討すると良いでしょう。
3.2. 費用がかかる:お金は必要経費と割り切って
国に引き取ってもらうためには、審査手数料や負担金を支払う必要があります。また、専門家(行政書士など)に依頼する場合は、別途報酬が発生します。これらの費用をしっかりと把握し、予算を立てておくことが重要です。費用の内訳は以下の通りです。
費用の種類 | 詳細 | 金額の目安 |
---|---|---|
審査手数料 | 国に申請を審査してもらうために支払う手数料 | 1筆につき14,000円 |
負担金 | 国が土地を管理するために必要な費用を、申請者が一部負担するお金。負担金は、土地の種類(宅地、農地、山林など)や面積によって変動します。 | 原則20万円。ただし、市街化区域の宅地や、一部の農地は高くなる傾向があります。 |
専門家報酬 | 行政書士などの専門家に手続きを依頼した場合に発生する報酬 | 行政書士によって異なりますが、一般的に10~30万円程度 |
これらの費用は、土地を手放すための必要経費と割り切る必要があります。ただし、専門家報酬は、相談する専門家によって異なりますので、複数の専門家に見積もりを依頼すると良いでしょう。
3.3. 全ての土地が対象ではない:ブラックリストには要注意
国庫帰属制度には、引き取りが認められない土地の要件が定められています。これらの要件に一つでも該当すると、申請が却下されてしまうため、注意が必要です。主な対象外となる土地の要件は以下の通りです。
対象外となる土地 | 詳細と具体例 | 注意点 |
---|---|---|
建物がある土地 | 建物(家、倉庫、小屋など)が建っている土地は対象外です。更地にする必要があります。 | 解体費用も考慮する必要があります。 |
担保権や使用収益権が設定されている土地 | 抵当権、賃借権、地上権などの権利が設定されている土地は対象外です。これらの権利を抹消する必要があります。
例:住宅ローンを組む際に設定した抵当権、農地を貸し付けている場合の賃借権 | 権利関係を整理する必要があるため、手続きが複雑になる場合があります。 |
通路、墓地、水路、境内地として利用されている土地 | 地域住民の生活に不可欠な土地や、宗教的な用途で使用されている土地は対象外です。
例:近隣住民が利用する私道、地域のお墓がある土地、農業用の水路がある土地 | 地域住民との調整が必要な場合があります。 |
土壌汚染されている土地 | 土壌汚染されている土地は、環境保全のために管理が難しいため、対象外です。 | 専門機関による調査が必要となる場合があります。 |
境界が不明確な土地 | 境界が不明確な土地は、管理やトラブルの原因になるため、対象外です。境界を確定させる必要があります。
例:隣接する土地との境界線が不明瞭な土地、境界を示す杭や標識がない土地 | 測量費用がかかる場合があります。 |
崖地、残地物、埋設物がある土地 | 崖地、残地物(ゴミなど)、埋設物(廃材、ガラなど)がある土地は、管理が難しいため、対象外です。 | これらの撤去費用がかかる場合があります。 |
袋地 | 他の土地を通らないとアクセスできない袋地は、対象外となる場合があります。 | 隣接する土地の所有者との交渉が必要になる場合があります。 |
管理費がかかる別荘地 | 管理費の滞納があると利用を制限される可能性のある別荘地は、対象外となる場合があります。 | 管理組合との調整が必要になる場合があります。 |
災害リスクが高い土地 | 土砂災害や浸水などのリスクが高い土地は、対象外となる場合があります。 | ハザードマップなどで確認する必要があります。 |
森林整備が必要な山林 | 適切な森林管理がされていない山林は、対象外となる場合があります。 | 専門家(森林組合)に相談することをおすすめします。 |
国に費用負担が生じる土地 | 国が引き取った後に追加的な費用負担が生じる土地は、対象外となります。土地改良区内の農地などが該当します。 | 土地改良区に加入している場合は、脱退手続きが必要となる場合があります。 |
これらの要件に該当する土地は、国庫帰属制度を利用することができません。事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
3.4. 申請後の撤回が難しい
一度、申請をした場合は、審査手数料(1筆14,000円)が返還されないため、注意が必要です。申請する際には、本当に国庫帰属制度を利用すべきかどうか、慎重に検討することが大切です。
4. 国庫帰属が認められる土地の条件:3つの視点から徹底解剖
国庫帰属が認められる土地の条件は、大きく分けて以下の3つの視点から考える必要があります。
4.1. 人の条件(申請者の要件):誰が申請できるのか?
国庫帰属制度を利用できるのは、相続によって土地を取得した相続人に限定されます。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
- 相続により土地を取得した相続人であること
- 遺産分割協議や遺言によって土地を相続した者
- 生前贈与や売買によって土地を取得した者は対象外
- 相続人以外の方が、土地の名義を移転した場合は対象外
例えば、以下のようなケースは、国庫帰属制度を利用できません。
事例1:
Eさんが、父親から土地を生前贈与された場合、Eさんは国庫帰属制度を利用することはできません。
事例2:
Fさんが、友人から土地を買い取った場合、Fさんは国庫帰属制度を利用することはできません。
この点は、制度利用を検討する上で非常に重要なポイントです。特に、生前贈与や家族信託などを利用している場合は、国庫帰属制度を利用できない可能性がありますので注意が必要です。
4.2. 物の条件(土地の要件):どんな土地なら引き取ってもらえる?
引き取りが認められない土地の要件は、法律や政令で細かく定められています。
具体的な例を交えながら、詳しく解説していきます。
対象外となる土地 | 詳細と具体例 | 注意点 |
---|---|---|
建物がある土地 | 建物(家、倉庫、小屋など)が建っている土地は対象外です。更地にする必要があります。
例:古くなった実家が建っている土地、使われていない倉庫が建っている土地 | 解体費用も考慮する必要があります。 |
担保権や使用収益権が設定されている土地 | 抵当権、賃借権、地上権などの権利が設定されている土地は対象外です。これらの権利を抹消する必要があります。
例:住宅ローンを組む際に設定した抵当権、農地を貸し付けている場合の賃借権、電柱を設置している場合の地上権 | 権利関係を整理する必要があるため、手続きが複雑になる場合があります。 |
通路、墓地、水路、境内地として利用されている土地 | 地域住民の生活に不可欠な土地や、宗教的な用途で使用されている土地は対象外です。
例:近隣住民が利用する私道、地域のお墓がある土地、農業用水路として使用されている土地、お寺の敷地の一部になっている土地 | 地域住民との調整が必要な場合があります。 |
土壌汚染されている土地 | 土壌汚染されている土地は、環境保全のために管理が難しいため、対象外です。 | 専門機関による調査が必要となる場合があります。過去に工場やガソリンスタンドがあった土地などは注意が必要です。 |
境界が不明確な土地 | 境界が不明確な土地は、管理やトラブルの原因になるため、対象外です。境界を確定させる必要があります。
例:隣接する土地との境界線が不明瞭な土地、境界を示す杭や標識がない土地、境界確認書がない土地 | 測量費用がかかる場合があります。土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。 |
崖地、残地物、埋設物がある土地 | 崖地、残地物(ゴミなど)、埋設物(廃材、ガラなど)がある土地は、管理が難しいため、対象外です。
例:崩れやすい崖がある土地、不法投棄されたゴミが放置された土地、古い建物の基礎部分が埋まっている土地 | これらの撤去費用がかかる場合があります。 |
袋地 | 他の土地を通らないとアクセスできない袋地は、対象外となる場合があります。 | 隣接する土地の所有者との交渉が必要になる場合があります。 |
管理費がかかる別荘地 | 管理費の滞納があると利用を制限される可能性のある別荘地は、対象外となる場合があります。 | 管理組合との調整が必要になる場合があります。滞納管理費の精算が必要になる場合があります。 |
災害リスクが高い土地 | 土砂災害や浸水などのリスクが高い土地は、対象外となる場合があります。 | ハザードマップなどで確認する必要があります。 |
森林整備が必要な山林 | 適切な森林管理がされていない山林は、対象外となる場合があります。 | 専門家(森林組合)に相談することをおすすめします。間伐や植林が必要な場合があります。 |
国に費用負担が生じる土地 | 国が引き取った後に追加的な費用負担が生じる土地は、対象外となります。土地改良区内の農地などが該当します。 | 土地改良区に加入している場合は、脱退手続きが必要となる場合があります。脱退には費用がかかる場合があります。 |
4.3. お金の条件:費用をきちんと把握しよう
国庫帰属制度を利用するには、以下の費用を支払う必要があります。
- 審査手数料:1筆につき14,000円
- 負担金:原則20万円。土地の種類や面積によって変動。宅地は高くなる傾向。
- 専門家報酬:行政書士などの専門家に手続きを依頼した場合に発生する報酬。行政書士によって異なるが、一般的に10~30万円程度。
負担金は、土地の種類や面積によって大きく変動します。例えば、市街化区域の宅地は、負担金が高くなる傾向があります。以下の表は、負担金の目安です。
土地の種類 | 面積 | 負担金の目安 |
---|---|---|
宅地(市街化区域) | 100㎡ | 55万円程度 |
宅地(市街化区域) | 200㎡ | 79万円程度 |
農地(市街化区域) | 200㎡ | 45万円程度 |
農地(市街化区域) | 500㎡ | 72万円程度 |
農地(市街化区域) | 1000㎡ | 110万円程度 |
山林 | 200㎡ | 22万円程度 |
山林 | 1000㎡ | 26万円程度 |
これらの費用を事前にしっかりと確認し、予算を立てておくことが重要です。特に、専門家報酬は、相談する専門家によって異なりますので、複数の専門家に見積もりを依頼することをおすすめします。
5. 申請手続きの流れ:スムーズに進めるために
国庫帰属制度の申請手続きは、以下の流れで進みます。専門家(行政書士)に依頼する場合は、これらの手続きを代行してもらうことができます。
- 事前相談:
まずは、法務局や行政書士などの専門家に相談し、制度の概要や、ご自身の土地が対象になるかどうかを確認します。この段階で、大まかな手続きの流れや、必要書類、費用などを把握しておくと良いでしょう。 - 必要書類の収集:
申請には、多くの書類が必要になります。具体的には、以下のような書類が必要です。これらの書類は、役所や法務局で取得する必要があります。- 申請書
- 戸籍謄本(相続人であることを証明する書類)
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 土地の全部事項証明書(登記簿謄本)
- 公図
- 地積測量図
- 現況写真
- その他(状況に応じて、遺産分割協議書、遺言書など)
- 申請書の作成:
申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。しかし、専門的な知識がないと、作成が難しい場合があります。行政書士などの専門家に依頼すると、スムーズに作成できます。 - 申請書の提出:
必要書類と審査手数料(印紙)を管轄の法務局に提出します。郵送での申請も可能ですが、不備があると再提出を求められるため、窓口で提出することをおすすめします。 - 審査:
法務局が提出書類を審査し、必要に応じて現地調査を行います。また、関係機関(市町村役場、農業委員会など)に照会をかけ、土地の状況を確認します。 - 承認・不承認の決定:
法務局が審査の結果、承認または不承認の決定をします。承認された場合は、負担金の納付書が送付されます。 - 負担金の納付:
指定された期日までに負担金を納付すると、土地の所有権が国に移転します。納付後、法務局から完了通知が送付されます。
6. 行政書士に依頼するメリット:なぜ専門家が必要なのか?
国庫帰属制度の手続きは、複雑で専門的な知識が必要です。そのため、専門家である行政書士に依頼することをおすすめします。行政書士に依頼するメリットは、以下の通りです。
- 手続きの代行:
煩雑な書類作成や手続きを代行してもらうことで、時間や手間を大幅に節約できます。特に、遠方に土地がある場合は、何度も役所や法務局に行く手間を省くことができます。 - 専門的なアドバイス:
制度の利用が可能かどうか、どのような書類が必要か、どのような土地が対象外になるのかなど、専門的なアドバイスを受けることができます。 - 審査のサポート:
審査の過程で、法務局とのやり取りを円滑に進めることができます。提出書類に不備がある場合や、追加書類の提出を求められた場合でも、スムーズに対応できます。 - トラブルの回避:
申請書類の不備や手続き上のミスによるトラブルを未然に防ぐことができます。専門家は、制度に関する知識が豊富なので、ミスなく手続きを進めることができます。 - 負担金の軽減:
専門的な視点から、負担金の軽減につながるアドバイスをもらうことができます。例えば、土地の種類を適切に判断したり、測量図などの費用を抑えたりすることができます。
行政書士に依頼することで、時間や手間を節約できるだけでなく、安心して手続きを進めることができます。特に、初めて国庫帰属制度を利用する場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
7. 行政書士を選ぶ際のポイント:信頼できる専門家を見つける
行政書士を選ぶ際は、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
- 国庫帰属制度の知識・経験:
国庫帰属制度に関する知識や経験が豊富か確認しましょう。特に、実績がある行政書士を選ぶと安心です。ホームページで実績を確認したり、過去の事例について質問したりすると良いでしょう。 - 料金体系の明確さ:
料金体系が明確で、見積もりを提示してくれる行政書士を選びましょう。追加料金が発生する条件も事前に確認しておきましょう。 - 相談の丁寧さ:
相談に対して親身になってくれるか、丁寧な説明をしてくれるかを確認しましょう。専門用語を並べるだけでなく、一般の人にも分かりやすく説明してくれる行政書士がおすすめです。 - 連絡の取りやすさ:
質問や疑問点に対して、スムーズに連絡を取れる行政書士を選びましょう。メールや電話など、連絡方法についても事前に確認しておくと良いでしょう。
上記のようなポイントを参考に、信頼できる行政書士を選びましょう。相談する行政書士が決まったら、まずは無料相談を利用し、疑問点や不安な点を解消しておくことをおすすめします。
まとめ:相続土地の悩みは、行政書士と解決しよう
相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を国に引き取ってもらうことで、管理責任から解放される有効な手段です。しかし、制度の利用には、様々な条件や手続きが必要です。行政書士は、これらの手続きを代行し、あなたの土地問題をスムーズに解決するお手伝いをすることができます。もし、相続した土地の扱いに困っているのであれば、ぜひ一度行政書士にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案させていただきます。
このブログ記事が、あなたの土地問題解決の一助となれば幸いです。
以上
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