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【実例で学ぶ】500万円請求も…!空き家の『売る・貸す・管理』契約書の罠と、資産を守る必須チェックリスト

2025 9/29
広告
未分類
2025年9月23日2025年9月29日
不安そうな表情をして、胸の前で手をクロスしている。若い女性。文字では「その署名ちょっと待った。契約書の罠。要チェックリスト」と書いてある。

空き家の「売る・貸す・管理」契約書には、法改正で生まれた新たな「罠」があり、知識がないまま契約すると後で高額請求されるなど、深刻なトラブルに発展する可能性があります。「相続した実家の契約、これで本当に大丈夫かな…」と不安に感じていませんか?

本記事では、空き家契約で失敗しないための結論として、①契約不適合責任、②原状回復義務、③管理責任の3つのポイントを徹底解説します。売買・賃貸・管理委託それぞれの場面で使える「必須チェックリスト」も用意しました。この記事を読めば、契約書に潜むリスクを理解し、あなたの大切な資産を確実に守る方法がわかります。

この記事の執筆者

執筆者:おがわ ひろふみ 

小川不動産株式会社代表取締役、行政書士小川洋史事務所所長

宅地建物取引士・行政書士。東北大学大学院で工学修士、東京工業大学大学院で技術経営修士を取得。不動産投資歴20年以上、欧州グローバル企業のCFOとして、Corporate Finance、国際M&Aに従事。不動産と法律、金融、テクノロジーの知見と経験を融合させ、独自の学際的な視点から、客観的で専門的な情報を提供します。

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目次

はじめに:実際に起きた空き家契約のトラブル事例

 【CASE 1:売却後の悲劇】
 Aさんは、相続した空き家を「契約不適合責任免責」の特約を付けて売却。しかし半年後、買主から「雨漏りを知ってて隠していたでしょう!」と500万円の修繕費用を請求される事態に…。

 【CASE 2:賃貸の落とし穴】
 Bさんは、空き家をDIY可の物件として貸し出した。しかし退去時、借主から「これは通常損耗の範囲だ」と主張され、敷金だけでは到底補えないほどの修繕費用を自己負担することに…。

 【CASE 3:管理委託の油断】
 遠方に住むCさんは、月額1万円で空き家管理を業者に委託していた。しかしある日、市役所から「管理不全空き家」の指導書が届き、固定資産税が6倍になる寸前に…。

 これらは決して他人事ではありません。日本全国で900万戸を超える空き家が社会問題となる中、契約書の「罠」に気づかずに大きな損失を被る所有者が後を絶ちません。

 特に2020年の民法改正により「契約不適合責任」が導入され、2023年12月には空家法が改正されるなど、空き家を取り巻く法環境は大きく変化しています。これらの変化により、従来の契約書では対応できない新たなリスクが生まれています。

 本記事では、専門家の視点から、空き家の売却・賃貸・管理委託における契約書の「罠」とも言える注意点を徹底解説します。法的な正確性を保ちながら、具体的な対策と必須チェックリストを提供し、トラブルを未然に防ぐための実践的なガイドとなることを目指します。

第1章:空き家売買契約における契約不適合責任の罠

1. 契約不適合責任とは何か

 2020年4月の民法改正で、瑕疵担保責任から契約不適合責任となり、買主の権利が拡大した反面、売主の責任が重くなっています。

 契約不適合責任とは、売買契約の目的物(土地・建物)が、種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。 従来の「隠れた瑕疵」だけでなく、契約内容と違う点すべてが対象となり、売主の責任が大幅に加重されました。

2. 買主の権利の拡大

 契約不適合責任では、買主は以下の権利を行使できます:
【買主の4つの権利】

  1. 追完請求権(修理・代替物の請求)→ まずはコレ!
  2. 代金減額請求権(値引き要求)→ 追完がない場合に
  3. 損害賠償請求権(金銭的補償)→ 売主に帰責事由がある場合
  4. 契約解除権(催告解除・無催告解除)→ 契約目的達成不可の場合

重要な注意点:
無催告解除は、そもそも引き渡しが履行不能である場合や、不適合を是正できなければ契約の目的を達成できない場合などには、無催告解除が認められています。つまり、無催告解除は「契約の目的を達成できない」に限定されます。空き家の軽微な不具合では適用されません。

3. 空き家売買における具体的なリスク

 空き家の売買では、以下のような契約不適合が発生しやすく、売主に重大な責任が生じる可能性があります:

(1)建物の構造的欠陥

  • 雨漏り、シロアリ被害
  • 基礎の傾き、建物の歪み
  • 長期間の空室による配管の腐食(漏水リスク)
  • 換気不足による床下のカビ発生

(2)土地の問題

  • 地中埋設物(古い浄化槽、基礎杭など)
  • 土壌汚染
  • 境界の不明確さ

(3)法的制限

  • 建築基準法違反
  • 接道義務の不適合
  • 用途地域の制限

4. 契約不適合責任を回避・軽減する方法

(1)免責特約の活用と限界
 契約不適合責任は任意規定であるため、免責特約を設けることが可能です。ただし、以下の重要な制限があります:

① 売主が知りながら告げなかった場合は無効
 売主が契約不適合を知っていながらこれを告げずに売買契約を締結した場合のように、それが信義に反する場合には無効となります。

② 消費者契約法による制限
 売主が事業者で買主が消費者の場合、契約不適合責任を全部免責とする条項が無効と定められています。

③ 宅建業法による制限
 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、担保責任の期間を2年以上とする場合を除き、売主の瑕疵担保責任の規定を民法の規定よりも買主に不利な特約とすることは無効となります。

免責特約の文例(個人売主の場合):
「売主は、買主に対し、本件物件に関し、契約不適合を理由とする追完、代金減額、契約解除、損害賠償等の責任を負わない。ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、この限りではない。」

(2)物件状況報告書の詳細な作成
 物件状況報告書の内容と引き渡した物件の状態が違っていると、契約不適合責任を問われることになるので、丁寧に記載しましょう。
 空き家特有の注意点として、以下の項目は必ず記載すべきです:

  • 長期間の空き家期間とその管理状況
  • 定期的な換気・通水の実施有無
  • 配管の腐食状況、床下のカビ発生有無
  • 近隣からのクレームの有無
  • 不法侵入や不法投棄の履歴

(3)ホームインスペクションの実施
 ホームインスペクションをして住宅の状態を把握すれば、住宅の状態を正しく買主に伝えることができ、契約不適合責任を追及されるリスクを軽減できます。

(4)不動産買取業者への売却
 宅建業者(不動産買取業者)に直接物件を売却する「不動産買取」の取引では、大抵の場合、売主の契約不適合責任が完全に免責されます。

5. 期間制限と通知義務

 買主は、引き渡された物件に契約不適合を発見した場合、その事実を知った時から1年以内に売主へ通知する義務があります。

 売主としては、この期間を短縮する特約を設けることが一般的です:
「買主は、本件物件に契約不適合があったときは、引渡しから3か月以内に売主に通知するものとする。」

 ただし、あまりにも短い期間へと制限した場合には、消費者契約法の規定により無効とされる可能性があるため注意が必要です。

                                        
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第2章:空き家賃貸借契約における原状回復義務の罠

1. 2020年民法改正による原状回復義務の明確化

 2020年4月1日に施行された改正民法では、「賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について、原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わない」と明記されました。

 これにより、賃借人が原状回復義務を負う範囲は、故意や不注意、または手入れ不足等で汚したり、壊したりした部分の修繕費用だということが明確化されたのです。

2. 空き家賃貸における特殊な問題

 長期間空き家だった物件を賃貸に出す場合、以下のような特殊な問題が発生します:

(1)入居時の状態確認の重要性
 空き家は経年劣化が進んでいることが多く、入居時点での状態を詳細に記録しておかないと、退去時にトラブルになります。

(2)空き家特有の劣化の見極め
 長期間の空室による劣化と、入居後の通常損耗の区別が困難な場合があります:

  • 長期間の空室による配管の腐食と入居後の使用による劣化
  • 換気不足による床下・壁内のカビと入居後の湿気によるカビ
  • 窓枠の歪みによる雨水浸入跡と入居後の結露

3. 原状回復における通常損耗と借主負担の区別

【原状回復:貸主負担 vs 借主負担】
貸主負担(通常損耗・経年変化)
借主負担(故意・過失・善管注意義務違反)
・壁紙の日焼け
・タバコのヤニ汚れ、臭い
・家具の設置による床のへこみ
・物を落としてできた床の傷、へこみ
・画鋲の穴(下地ボード張替不要な程度)
・釘穴、ネジ穴(下地ボード張替が必要な程度)
・設備機器の寿命による故障
・手入れ不足による設備の故障

4. 原状回復特約の有効性と限界

 賃貸借契約では、通常損耗についても賃借人負担とする特約を設けることがありますが、その有効性には厳格な要件があります。

 最高裁判例によれば、賃借人が修繕費用を負担することになる通常損耗及び経年変化の範囲を明確に理解し、それを合意の内容としたものと認められるなど、通常損耗補修特約が明確に合意されていることが必要であるとされています。

有効な特約の要件:

  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

5. 空き家賃貸における原状回復トラブル防止策

(1)入居時の詳細な現況確認書の作成
 空き家の場合、以下の項目は特に重要です:

  • 長期間の空き家による劣化箇所の明記
  • カビ、シミ、変色箇所の詳細な記録(特に水回り)
  • 設備の作動状況(特に長期間使用していない設備)
  • 配管の腐食状況、床下の状態
  • 写真撮影による証拠保全(日付入り、全方位撮影)

(2)特約条項の明確な記載
「賃借人は、以下の費用を退去時に負担するものとする:
1. ハウスクリーニング費用:○○円
2. 畳表替え(使用期間に関わらず):1畳あたり○○円
3. 襖・障子の張替え(破損の有無に関わらず):1枚あたり○○円
ただし、上記は通常損耗に関する費用負担の特約であり、賃借人の故意・過失による損傷については別途原状回復義務を負う。」

(3)定期的な物件確認の実施
 空き家から賃貸に転用した物件は、構造的な問題が潜在している可能性があるため、定期的な確認が重要です:

  • 3~6か月ごとの定期点検の実施
  • 点検記録の保管(写真付き)
  • 問題発見時の速やかな対応と記録

6. 敷金精算のルール

 敷金についても改正民法で定義され、賃料などを担保するために納める保証金のようなものだと定義されました。賃貸借契約が終了して賃借人が部屋を明け渡した時点で、賃貸人には敷金を返還する義務があると改正民法で明文化されました。

 正確には、敷金は「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的」で交付される金銭です(民法622条の2)。


第3章:空き家管理委託契約における管理責任の罠

1. 空き家管理の法的責任(正確な解説)

 2023年12月施行の改正空家法により、空き家の管理責任は一層厳格化されました。しかし、よく誤解されるのが「管理不全空家」と固定資産税の関係です。

 重要な事実:
管理不全空家に指定され、「勧告」を受けた場合、固定資産税の住宅用地の特例の適用除外となることがあります。つまり、管理不全空家の「指定」だけでは特例は解除されません。

 正確な流れ:
 1. 管理不全空家の認定
 2. 市町村からの「指導」→ この段階では税制優遇は継続
 3. 改善されない場合「勧告」→ 勧告に従わない場合に特例解除
 4. 固定資産税が最大6倍に

2. 管理委託契約の重要チェックポイント

(1)業務範囲の明確化
 曖昧な表現は避け、具体的な作業内容を明記することが重要です:

【基本管理業務】
1. 外観点検:月1回、建物外周を巡回し、破損・劣化箇所を確認
2. 郵便物確認:月1回、郵便受けの確認と指定場所への転送
3. 庭木・雑草確認:月1回、隣地への越境や通行妨害の有無を確認

【オプション業務】
1. 内部換気:月1回、全室の窓開け換気(30分間)
2. 通水作業:月1回、全水栓の通水(各1分間)
3. 清掃作業:3か月に1回、室内簡易清掃
4. 植被管理:雑草は高さ30cm以上で刈り取り、隣地へ越境する枝は2か月以内に剪除

(2)報告体制の確立
 管理状況を把握できないと、問題の早期発見が困難になります:
「受託者は、毎月の管理実施後3営業日以内に、以下の内容を含む管理報告書を委託者に提出する:

1. 実施日時
2. 実施内容の詳細
3. 発見された問題点(写真添付)
4. 対応が必要な事項の提案
5. シロアリ被害の有無の確認結果」

(3)緊急時対応の取り決め
「台風、地震等の自然災害発生後は、受託者は48時間以内に臨時点検を実施し、被害状況を委託者に報告する。緊急対応が必要な場合は、○万円以内の応急処置については受託者の判断で実施できるものとし、それを超える場合は委託者の承認を得る。」

3. 責任範囲と免責事項の明確化

(1)管理会社の責任範囲
「受託者は、善良な管理者の注意をもって管理業務を行うものとする。ただし、以下の事項については責任を負わない:

1. 自然災害による損害
2. 第三者の不法行為による損害
3. 経年劣化による損害(ただし、通常の管理業務で当然発見・報告すべき危険な兆候を除く)
4. 委託者の指示に基づく行為の結果」

 注意: 「経年劣化」を免責事項に含める場合でも、管理会社は『善良な管理者の注意義務(善管注意義務)』違反として、損害賠償責任を問われる可能性があります。例えば、外壁の大きな亀裂、明らかに外れかかっている雨どい等の危険な兆候を報告しなかった場合です。

(2)保険加入の義務化
「受託者は業務中の過失による損害に備え、賠償責任保険(1事故○千万円以上)に加入し、その証明書を委託者に提出する。」

(3)損害賠償の上限設定
「受託者の責めに帰すべき事由により委託者に損害が生じた場合、受託者の損害賠償責任は、月額管理料の○か月分を上限とする。ただし、受託者の故意または重大な過失による場合はこの限りではない。」

4. 費用負担の明確化

 空き家管理では、予期せぬ費用が発生することがあります:

【基本管理料】月額○○円(税別)

【追加費用が発生する場合】
1. 草刈り・剪定作業:実費+手数料○%
2. 不用品処分:実費+手数料○%
3. 小修繕(○万円未満):実費+手数料○%
4. 行政対応(書類作成等):1回あたり○○円
5. シロアリ駆除・予防:実費(要事前見積)

5. 契約解除条項

 管理会社の業務が不適切な場合の対応を定めておくことが重要です:

「以下の場合、委託者は催告なく本契約を解除できる:
1. 受託者が2か月連続で管理業務を怠った場合
2. 虚偽の報告を行った場合
3. 管理不全により行政から指導・勧告を受けた場合
4. シロアリ被害等の重要な劣化を発見・報告しなかった場合」


                                        
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第4章:契約書作成時の必須チェックリスト

売買契約書チェックリスト

□ 契約不適合責任の範囲

  • 免責特約の有無と内容(売主の属性確認)
  • 消費者契約法・宅建業法の適用有無
  • 通知期間の設定(引渡しから何か月以内か)
  • 責任制限の内容(修補のみ、損害賠償上限など)
  • 責任期間の起算点:「引渡しから○か月以内に通知」と明記

□ 物件状況の告知

  • 物件状況報告書の添付
  • 空き家期間とその間の管理状況
  • 配管腐食、床下カビの有無
  • 既知の不具合の全記載

□ 特殊事情の明記

  • 心理的瑕疵の有無
  • 近隣トラブルの履歴
  • 境界確定の状況
  • シロアリ被害の履歴

□ 引渡し条件

  • 残置物の処理方法
  • 鍵の引渡し時期と方法
  • 引渡し時の立会い有無

賃貸借契約書チェックリスト

□ 原状回復の範囲

  • 通常損耗と経年変化の扱い
  • 特約事項の明確な記載
  • 入居時の現況確認書の作成(空き家劣化の記録)

□ 敷金・保証金

  • 金額と使途の明確化
  • 返還時期と条件
  • 精算方法の具体的記載

□ 修繕義務の分担

  • 大家負担と借主負担の明確な区分
  • 小修繕の範囲と金額基準
  • 緊急修繕時の対応方法
  • 空き家特有の劣化への対応

□ 特殊条項

  • 定期借家契約の場合の再契約条件
  • ペット飼育時の追加条項
  • 原状回復費用の定額設定
  • 配管・床下の定期点検条項

管理委託契約書チェックリスト

□ 業務内容の具体性

  • 作業項目と頻度の明記
  • 基本業務とオプション業務の区分
  • 作業品質の基準設定
  • 植被管理の数値基準(雑草30cm・越境枝2か月)

□ 報告・連絡体制

  • 定期報告の頻度と内容
  • 緊急時の連絡方法
  • 報告書の様式と写真添付
  • シロアリ等の定期確認

□ 費用と支払い

  • 基本管理料と追加費用の明確化
  • 支払い時期と方法
  • 費用改定のルール

□ 責任と保険

  • 管理会社の責任範囲
  • 免責事項の明確化(善管注意義務との関係)
  • 賠償責任保険の加入義務
  • 賠償額の上限設定

□ 契約期間と解除

  • 契約期間と更新方法
  • 解除事由と手続き
  • 引継ぎ事項の取り決め
  • 行政指導時の対応

まとめ

 空き家の売却・賃貸・管理委託は、それぞれに特有の法的リスクが存在します。2020年の民法改正による契約不適合責任の導入、原状回復義務の明確化、そして2023年の空家法改正による管理責任の強化により、契約書の重要性は以前にも増して高まっています。

 本記事で解説した各種契約の「罠」を理解し、適切な対策を講じることで、将来のトラブルを防ぐことができます。特に重要なのは、契約書の内容を具体的かつ明確に記載し、曖昧な表現を避けることです。

 また、法的な制限を正確に理解することも重要です:

  • 契約不適合責任の無催告解除は重大な不適合に限定される
  • 管理不全空家でも「勧告に従わない場合」に初めて税制優遇が解除される
  • 消費者契約や宅建業者が関わる場合の免責特約の制限

 空き家問題は今後も深刻化することが予想されます。所有者の方々には、早期の対策と専門家への相談をお勧めします。契約書の作成や確認に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することで、より安全な契約締結が可能となります。

 最後に、空き家を負の資産としてではなく、適切な契約と管理により価値ある資産として活用していただければ幸いです。

この記事の執筆者

執筆者:おがわ ひろふみ 

小川不動産株式会社代表取締役、行政書士小川洋史事務所所長

宅地建物取引士・行政書士。東北大学大学院で工学修士、東京工業大学大学院で技術経営修士を取得。不動産投資歴20年以上、欧州グローバル企業のCFOとして、Corporate Finance、国際M&Aに従事。不動産と法律、金融、テクノロジーの知見と経験を融合させ、独自の学際的な視点から、客観的で専門的な情報を提供します。

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資格:宅地建物取引士、行政書士、賃貸不動産経営管理士、競売不動産取扱主任者、日商簿記1級 FP2,TOEIC895等。
対応言語:日本語(JP), 英語(EN), 伊語(IT)
学歴:札幌西高、東北大、東工大
学位:工学修士、技術経営修士
札幌、仙台、東京、ミラノ(伊)、ボローニア(伊)、ハワイ、バンコク、沖縄など世界各地で田舎の木造からタワマンまで世界中の不動産を経験。主に不動産と法律について発信。
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