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2025年4月施行・建築基準法改正の全貌|4号特例縮小と実務対応を徹底解説

2026 4/10
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未分類
2026年4月10日
建築基準法改正のポイントを示す建築現場のイメージ
目次

リード:2025年4月、建築基準法が大きく変わった——不動産投資・建築実務への影響とは

2025年4月1日、改正建築基準法が施行された。今回の改正は、いわゆる「4号特例」の縮小、全建築物への省エネ基準適合義務化、木造建築物に関する構造規制の合理化など、建築業界に広範な影響を及ぼす内容を含んでいる。とりわけ不動産投資家にとっては、木造戸建住宅の建築確認手続きの変更がコストや工期に直結するため、改正内容の正確な理解が不可欠だ。

本記事では、施行から約10日が経過した2026年4月10日時点の情報を踏まえ、改正建築基準法の6つの主要ポイントを条文に即して解説する。さらに、確認申請の経過措置、二級建築士の業務範囲見直し、省エネ基準の仕様基準など、実務家が「明日から使える」レベルで具体的なアクションポイントを提示する。不動産投資家、宅建士、建築士、ファイナンシャルプランナーなど、建築規制に関わるすべての専門家に一読いただきたい。

1. 背景・現状分析:なぜ今、建築基準法が改正されたのか

1-1. 建築基準法改正の歴史的文脈

建築基準法は1950年(昭和25年)の制定以来、大規模災害や社会構造の変化を契機として幾度も改正されてきた。特に重要な転換点を挙げると、以下のとおりである。

  • 1981年(昭和56年):宮城県沖地震(1978年)を受けた施行令改正により「新耐震設計法」が導入
  • 1998年~2000年(平成10年~12年):阪神・淡路大震災(1995年)を契機に、確認・検査の民間開放、中間検査制度の導入、性能規定化が実現
  • 2018年(平成30年):糸魚川市大規模火災(2016年)、埼玉県三芳町倉庫火災(2017年)を受け、建築物・市街地の安全性確保、木造建築物に係る制限の合理化が図られた

2025年の改正は、2022年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第69号)に基づくものであり、カーボンニュートラル実現と建築物の安全性確保という二つの政策目標を同時に追求する点に特徴がある。

1-2. 「4号特例」が問題視されてきた理由

改正前の建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物(いわゆる「4号建築物」)は、木造であれば「2階建て以下」かつ「延べ面積500㎡以下」かつ「高さ13m・軒高9m以下」の範囲にあった。これらの建築物について、建築士が設計を行った場合には、建築確認の際に構造耐力関係規定等の審査が省略される仕組みが「4号特例」と呼ばれてきた。

この特例は建築士の専門性を信頼して審査を効率化する趣旨であったが、以下のような問題が指摘されていた。

  • 構造計算書の提出が不要なため、構造安全性の確認が設計者任せとなるケース
  • 2016年の熊本地震では、新耐震基準で建てられた木造住宅にも倒壊事例が確認された
  • 省エネ性能の審査も行われないため、断熱性能が不十分な住宅が建築されるリスク

こうした背景から、4号特例の縮小は長年の懸案事項であり、今回の改正でようやく実現に至った。業界では「2025年ショック」とも呼ばれ、施行前から大きな注目を集めていた。

1-3. 木造建築市場の拡大と規制の合理化

政府は「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、木材利用の促進を重要施策の一つに位置づけている。2021年に施行された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の趣旨も踏まえ、木造建築物の中高層化を可能にする規制の合理化が求められてきた。今回の改正は、安全性の確保と木材利用の促進という、一見相反する要請のバランスを図るものである。

2. 法令・制度解説:改正建築基準法の6つの主要ポイント

2-1. ポイント①:4号特例の縮小(新2号・新3号の区分)

今回の改正の最大の目玉は、旧4号建築物の区分が再編され、審査の特例が大幅に縮小されたことである。

改正後の建築基準法第6条第1項では、従来の4号建築物が「新2号建築物」と「新3号建築物」に再分類された。具体的には以下のとおりである。

新2号建築物:木造で「階数2以上」または「延べ面積200㎡超」の建築物
新3号建築物:木造で「平屋」かつ「延べ面積200㎡以下」の建築物、および非木造で「平屋」かつ「延べ面積200㎡以下」の建築物

新2号建築物については、建築確認申請時に構造関係規定および省エネ関係規定の審査が必要となる。つまり、これまで4号特例で審査が省略されていた木造2階建て住宅なども、構造計算書や省エネ計算書の提出が求められることになった。

一方、新3号建築物(平屋かつ200㎡以下)については、従来の4号特例に近い審査省略が維持される。ただし、省エネ基準への適合義務は新3号建築物にも課される点に注意が必要である。

2-2. ポイント②:壁量規定等の構造関係規定の見直し

改正に伴い、建築基準法施行令第43条(壁量)および第46条(柱の小径)に関する基準も見直された。

具体的には、ZEH水準の断熱材使用などにより建物重量が増加する現実を踏まえ、必要壁量が引き上げられた。また、柱の小径に関しては、仕様の実況に応じた合理的な算定方法が導入されている。

確認申請書第3面の記載に関しては、国土交通省の説明資料に基づき、以下の点に留意する必要がある。

  • 木造軸組工法の場合:第3面17欄で経過措置の適用有無を記載し、「有」の場合は令43条(壁量)と令46条(柱の小径)の両方をチェックする。いずれか一方のみの経過措置適用は認められない
  • 枠組壁工法の場合:第3面17欄の【その他】に該当する旨を記載する

2-3. ポイント③:省エネ基準適合義務化

今回の改正のもう一つの柱が、原則としてすべての新築建築物に対する省エネ基準適合の義務化である。改正前は、延べ面積300㎡以上の非住宅建築物のみが適合義務の対象であったが、改正後は住宅を含むすべての新築建築物が対象となった。

具体的には、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)に基づく省エネ基準への適合が、建築確認の審査項目に組み込まれる。省エネ基準への適合を証明する方法としては、以下のルートがある。

  • 仕様基準:外皮(外壁・窓等)の断熱性能と一次エネルギー消費量について、仕様で適合を確認
  • 計算基準:UA値(外皮平均熱貫流率)やηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)等を計算で確認
  • モデル住宅法:簡易な方法で省エネ基準への適合を確認(小規模住宅向け)

不動産投資家としては、新築物件の建築コストに省エネ対応費用が上乗せされる点を認識しておくべきである。ただし、省エネ性能の向上は入居者の光熱費削減や物件の資産価値向上にも寄与するため、中長期的にはプラスに作用する可能性が高い。

2-4. ポイント④:木造建築物における「表し(あらわし)」使用の容認

改正前は、木造建築物の防耐火規制上、構造木材を被覆(石膏ボード等で覆う)することが一般的に求められていた。今回の改正では、新しい構造方法の導入により、構造木材の「表し」使用が可能となった。

これは、燃えしろ設計の考え方を発展させたもので、一定の断面寸法を確保した木材であれば、火災時に表面が炭化層を形成し内部の構造耐力を維持できるという知見に基づいている。木材利用の促進という政策目標にも合致する改正であり、デザイン性の高い木造建築物の設計が容易になる。

2-5. ポイント⑤:中層木造建築物の耐火性能基準の合理化

改正前の耐火性能基準は、以下のように階数に応じた一律の基準であった。

  • 最上階から階数4以内:1時間耐火性能
  • 最上階から階数5以上14以内:2時間耐火性能
  • 最上階から階数15以上:3時間耐火性能

この基準では、5階建てと14階建ての建築物に同水準の耐火性能が求められるという不合理が生じていた。改正後は、中層建築物(5階建て以上9階建て以下)について、最下層で90分耐火できれば木造での設計が可能となった。

この合理化により、中層木造建築の実現可能性が大幅に広がる。不動産投資の観点からは、RC造やS造と比較して建設コストの低減が期待できる木造の中層賃貸マンション・オフィスビルが現実的な選択肢として浮上する。

2-6. ポイント⑥:既存不適格建築物に対する特例の拡充

現行の建築基準法の施行前に建てられた建築物の中には、現法に適合しない「既存不適格建築物」が多数存在する。接道義務(建築基準法第43条)や道路内建築制限(同法第44条)に違反している建築物が代表例であり、そもそもの立地条件上、いかにリノベーションしても現行法に適合させられないケースが問題となっていた。

今回の改正では、特定の条件を満たす既存不適格建築物について、現行基準の一部を適用除外とする特例が設けられた。これにより、古い建築物の再利用が促進され、空き家問題の解消や地域の活性化につながることが期待される。不動産投資家にとっては、既存不適格物件のリノベーション投資の可能性が広がる点で注目すべき改正である。

3. 経過措置と確認申請実務の詳細

3-1. 施行日前後の確認申請の取扱い

改正法の施行日は2025年4月1日であるが、実務上は施行日前後の取扱いに関する経過措置が設けられている。ビューローベリタスジャパンの解説資料等を踏まえ、主要なケースを整理する。

  • 施行日前に確認申請を受け付け、施行日前に確認済証が交付された場合:改正前の基準が適用される。設計内容の変更は不要
  • 施行日前に確認申請を受け付け、施行日後に確認済証が交付される場合:審査で改正後の基準への適合を確認する。確認済証の【その他必要な事項】に経過措置の有無を記載する
  • 4月以降に着工し、計画変更確認が提出された場合:計画変更確認の時点で改正後の基準に基づく審査を実施し、申請書に経過措置の有無を記載する
  • 確認申請受付が4月1日以降の場合:改正後の様式で経過措置の有無を記載し、審査時に適合を確認する

実務上特に注意が必要なのは、施行日をまたぐケースである。確認審査中に4月1日を経過した場合は、改正後の基準での適合確認が必要となるため、施行日前の駆け込み申請を行う場合でも、万が一審査が長引いた場合のリスクを考慮しておくべきである。

3-2. 二級建築士の業務範囲の見直し

建築基準法改正に伴い、建築士法に基づく二級建築士の業務独占範囲も見直された。具体的な変更点は以下のとおりである。

改正前:「高さ13m以下かつ軒高9m以下」の建築物について設計・工事監理が可能
改正後:「階数が3以下かつ高さ16m以下」の建築物について設計・工事監理が可能

また、一級建築士でなければ設計等をすることのできない木造建築物の「高さ」要件も、「地階を除く階数4以上または高さ16m超」に見直された。木造建築士の業務範囲についても「階数が2以下かつ高さ16m以下」の木造建築物に見直されている。

この見直しにより、従来は「高さ13m・軒高9m」という基準で判断されていた業務範囲が、「階数と高さ16m」という、より実態に即した基準に変更された。特に、小屋裏利用のある木造住宅など、軒高が9mを超えるが階数は3以下というケースでは、二級建築士でも対応可能な範囲が拡大することになる。

3-3. 伝統的木造建築物(石場建て等)への配慮

改正建築基準法では、小規模な伝統的木造建築物についても特別な配慮がなされている。石場建て(柱と基礎を緊結しない工法)のように、現行の仕様規定に適合しない伝統構法については、構造設計一級建築士が設計または確認を行い、専門的知識を有する建築主事等が建築確認審査を行う場合には、構造計算適合性判定を不要とする特例が設けられた。

この特例の施行日は「公布の日から3年以内」とされており、2025年4月1日時点ではまだ施行されていない点に注意が必要である。伝統構法による建築を計画している場合は、施行時期の動向を注視しておくべきである。

4. 不動産投資家・実務家への影響と具体的アクションポイント

4-1. 建築コストへの影響

4号特例の縮小により、木造2階建て住宅でも構造計算書の作成・提出が必要となった。これは建築コストの上昇要因であり、業界団体の試算では、構造計算費用として1棟あたり20万〜40万円程度の追加コストが見込まれている。加えて、省エネ基準適合のための断熱材・高性能窓の採用も追加コストとなる。

不動産投資家としては、以下の点を考慮すべきである。

  • 新築投資の収支計算の見直し:建築コストの上昇分を利回り計算に反映する
  • 省エネ性能による差別化:省エネ基準適合物件は、入居者の光熱費削減メリットを訴求でき、賃料プレミアムの獲得が期待できる
  • 木造中層建築への投資機会:耐火基準の合理化により、木造5階建て以上の賃貸物件が実現可能に。RC造比で建設コスト15〜25%削減の可能性

4-2. 確認申請手続きの変更への対応

実務家(建築士・宅建士)にとって最も直接的な影響は、確認申請手続きの変更である。具体的なアクションポイントは以下のとおりである。

  • 申請書式の変更への対応:改正後の確認申請書第3面には、経過措置の適用有無、壁量・柱の小径に関する記載欄が追加されている。申請書の最新版を使用しているか確認すること
  • 構造計算書の準備:新2号建築物(木造2階建て以上または200㎡超)は、許容応力度計算等の構造計算書の提出が必要。構造設計の外注先を確保しておくこと
  • 省エネ計算書の準備:省エネ基準適合を証明する計算書(外皮計算・一次エネルギー消費量計算)の作成が必要。仕様基準で対応する場合はチェックリストの活用を検討すること
  • 工期への影響:審査項目の増加に伴い、確認審査の期間が延びる可能性がある。着工スケジュールには余裕を持たせること

4-3. 既存物件のリノベーション投資への影響

既存不適格建築物に対する特例の拡充は、リノベーション投資家にとって朗報である。従来は、接道義務違反等で建て替えが事実上不可能であった物件について、一定条件下でリノベーションによる再生が可能となる。

ただし、この特例の適用条件は厳格であり、以下の点に留意する必要がある。

  • 特例の適用を受けるためには、建築物の安全性に関する一定の基準を満たす必要がある
  • 用途変更を伴う場合は、別途の確認申請が必要となるケースがある
  • 特定行政庁の判断が介在するため、事前相談が不可欠である

4-4. 不動産相続・資産管理への示唆

不動産の相続においては、建物の構造・性能が資産評価に影響を与える。省エネ基準適合物件は、固定資産税の減額措置(地方税法に基づく省エネ改修促進税制等)や、住宅ローン減税の優遇を受けられる可能性がある。

また、相続税の計算において不動産の評価額は大きなウエイトを占める。国税庁の路線価による土地評価と固定資産税評価額による建物評価が基本であるが、省エネ性能の高い建築物は耐用年数が長く、資産価値の維持に寄与する。相続対策として不動産投資を行う場合には、建築基準法改正後の基準に適合した物件を選択することが、長期的な資産価値の維持に有効である。

なお、民法第13条第3号は「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」を被保佐人の同意を要する行為として規定している。相続に伴う不動産の処分や建替えにおいて、被保佐人が関与する場合には、保佐人の同意が必要となる点にも注意を払いたい。

4-5. 借地上の建物の建替えと借地借家法との関係

借地上に建物を所有する投資家にとっては、建築基準法の改正が借地借家法上の問題にも波及しうる。借地借家法第7条は、借地権の存続期間満了前に建物の滅失があった場合の再築に関する規定を置いているが、建替えに際して改正建築基準法の基準に適合させるための追加コストが発生する場合、地主との交渉事項となりうる。

また、借地非訟手続において、建物の構造変更が「借地条件の変更」に該当するケースもある。木造から耐火構造への変更等を伴う場合には、借地借家法第17条に基づく借地条件変更の申立てが必要となる可能性がある。実務上は、建築計画の段階で借地契約の条件を確認し、必要に応じて地主との事前協議を行うことが重要である。

5. まとめ・今後の展望

2025年4月施行の建築基準法改正は、4号特例の縮小、省エネ基準適合の全面義務化、木造建築規制の合理化という三つの柱を中心に、建築業界全体に大きな変革をもたらすものである。不動産投資家にとっては、短期的には建築コストの上昇や手続きの複雑化というデメリットがあるものの、中長期的には以下のポジティブな影響が期待される。

  • 構造安全性の向上により、建築物の長寿命化と資産価値の維持が促進される
  • 省エネ基準適合物件の普及により、入居者満足度と物件競争力が向上する
  • 木造中層建築の実現可能性が広がり、新たな投資機会が生まれる
  • 既存不適格建築物の特例拡充により、リノベーション投資の可能性が拡大する

今後の注目点としては、伝統的木造建築物に関する特例の施行時期(公布から3年以内)、省エネ基準の段階的引き上げの動向、そして自治体ごとの運用の違いが挙げられる。特に確認審査を担当する指定確認検査機関ごとに、審査の厳格さや所要期間に差が出る可能性がある。実務家としては、改正法の条文と国土交通省の施行通知を正確に理解し、関係機関との密なコミュニケーションを維持することが、円滑な実務遂行の鍵となるだろう。

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