
【法的根拠】 航空法第132条の85第1項第2号、航空法施行規則第236条の72
【解説】 ドローン規制を語る上で最も頻出する用語の一つ。英語の「Densely Inhabited District」の頭文字をとって「DID」と呼ばれる。
航空法第132条の85第1項第2号は、原則として無人航空機の飛行を禁止する空域の一つとして「人又は家屋の密集している地域の上空」を規定している。そして、この「密集している地域」の客観的な基準として、航空法施行規則第236条の72が「国土交通大臣が告示で定める年の国勢調査の結果による人口集中地区」と厳密に定義している。
【実務上のポイント】 実務家が絶対に押さえておくべきポイントは以下の3点である。
- 「見た目」ではなく「データ」で決まる 「現場に行ってみたら人が誰もいなかった」「過疎化が進んで空き家ばかりだ」といった現場の主観的な状況は、法的には一切関係ない。国勢調査のデータ上でDIDに指定されていれば、そこは無条件で「人口集中地区」として扱われる。
- 5年ごとに境界線が変動する 国勢調査は5年ごとに実施されるため、DIDの範囲もそれに伴い更新される(現在は令和2年の国勢調査結果が適用されている)。過去のプロジェクトで「ここはDID外だった」という記憶を頼りに飛行させると、データ更新により現在はDID内に変わっており、無許可飛行(航空法違反)で検挙されるリスクがある。
- 「特定飛行」の登竜門 DID上空での飛行は、航空法上「特定飛行」に該当する。しかし、これは「絶対に飛べない空域」という意味ではない。適切な機体(登録済み・リモートID搭載)を用意し、安全確保措置(立入管理措置等)を講じた上で国土交通大臣の許可・承認を得れば(あるいは一定の条件を満たしてカテゴリーⅡB飛行として許可・承認を省略すれば)、合法的にビジネスを展開できる巨大な市場へと変わる。
実務においては、飛行計画を立てる際、DIPS2.0等のシステムや国土地理院の地図等を用いて、対象エリアが最新のDIDに該当するか否かを第一に確認することが、すべての法的ロジックの出発点となる。

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