2026年法改正28件を企業が今から対応すべき重要改正を一覧で解説
2026年は、企業法務・不動産・労務・コンプライアンスなど多岐にわたる分野で重要な法改正が一斉に施行される「改正ラッシュ」の年です。すでに2026年5月を迎えた今、「まだ対応できていない」という企業や個人事業主も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、2026年に施行される主要な法改正28件の中から、特に不動産業界・企業経営・行政手続きに影響が大きいものをピックアップし、実務レベルでの対応ポイントを解説します。不動産オーナー、企業の法務担当者、そしてこれから相続や事業承継を控える方は必見の内容です。
2026年法改正の全体像|なぜ今年はこれほど多いのか
2026年にこれだけ多くの法改正が集中している背景には、2020年代前半に成立した改正法の「施行猶予期間の満了」が重なっていることがあります。コロナ禍で審議が加速した法案、デジタル化推進のための整備法、そして少子高齢化対策として段階的に進められてきた社会保険・労働法制の改正が一気に施行を迎えています。
企業にとっては、一つひとつの改正に個別対応するのではなく、横断的に優先順位をつけて対応計画を立てることが求められます。特に不動産に関わる改正は、罰則付きの義務化が含まれるため、後回しにすると深刻なリスクとなります。
【最重要】不動産登記の義務化|2024年開始だが2026年も要注意
相続登記の義務化はすでに施行済み、でも未対応者が大量に残っている
相続登記の義務化は2024年4月1日に施行されましたが、過去の相続についても3年以内(2027年3月末まで)に登記しなければならないという経過措置があります。2026年5月の現時点で、残された猶予はあと約11か月です。
正当な理由なく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。「相続した実家をどうするか決まっていない」「相続人が多すぎて話し合いが進まない」といったケースでも、少なくとも相続人申告登記という簡易な手続きを行うことで過料を回避できます。
住所・氏名変更登記の義務化(2026年4月施行)
2026年4月1日からは、不動産所有者の住所・氏名の変更登記も義務化されました。引っ越しや結婚で住所・氏名が変わった場合、変更から2年以内に登記を申請しなければなりません。違反した場合は5万円以下の過料です。
不動産を所有している方で、過去に転居や婚姻で住所・氏名が変わったにもかかわらず登記を更新していない場合、2026年4月の施行日から2年以内(2028年3月末まで)に変更登記を行う必要があります。特に投資用不動産を複数所有している方は、物件ごとに登記内容を確認することをおすすめします。
なぜ登記義務化が必要だったのか|所有者不明土地問題
日本全国で所有者不明の土地は、九州の面積を超えるとも言われています。所有者が分からない土地は、再開発・災害復興・インフラ整備の障害となり、空き家問題や地域衰退の原因にもなっています。登記義務化は、こうした社会課題を根本から解決するための制度改革です。
不動産業者にとっても、所有者不明物件は取引の障害となるため、登記の正確性が高まることは不動産流通の活性化にもつながります。
カスタマーハラスメント対策の義務化|不動産業界への影響は
改正労働施策総合推進法(カスハラ防止義務)
2026年に施行が見込まれるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化は、不動産業界にとって特にインパクトの大きい改正です。
不動産仲介や管理業務では、入居者からのクレーム、オーナーとの交渉、近隣住民とのトラブルなど、感情的な対応を求められる場面が日常的に発生します。従業員がカスハラを受けた場合に、会社として適切な対応体制を整備していなければ、安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われる可能性があります。
実務で必要な対応
- カスハラに該当する行為の定義と具体例を社内マニュアルに明記
- 相談窓口の設置と対応フローの整備
- 従業員向けの研修の実施と記録の保存
- 悪質なケースでの弁護士・警察への連携体制の構築
- 賃貸管理においては、管理委託契約書にカスハラ対応の条項を追加
公益通報者保護法の改正|内部告発と企業コンプライアンス
公益通報者保護法の改正により、企業の内部通報体制の強化が求められます。一定規模以上の企業では、通報窓口の設置・通報者の保護措置・調査体制の整備が義務付けられます。
不動産業界では、宅建業法違反・建築基準法違反・重要事項説明の虚偽記載など、内部告発の対象となりうる事項が多岐にわたります。特に宅建業者は免許制であるため、法令違反が発覚した場合の行政処分(業務停止・免許取消)のリスクは極めて大きいです。
内部通報制度を形だけ整えるのではなく、実際に機能する体制を構築することが重要です。通報者への不利益取扱いが発覚した場合、企業の社会的信用は一気に失墜します。
社会保険適用拡大|不動産業のパート・アルバイトにも影響
従業員51人以上の企業が対象に
2024年10月から従業員101人以上の企業に適用されていた社会保険の適用拡大が、2026年10月にはさらに対象が広がり、従業員51人以上の企業まで拡大されます(さらなる拡大も検討中)。
不動産管理会社や仲介会社では、パートタイムの事務スタッフや清掃スタッフを多く雇用しているケースがあります。これまで社会保険の対象外だった短時間労働者が新たに加入対象となるため、人件費の増加は避けられません。
企業側の具体的対応
- 対象となる従業員の洗い出しと加入手続きの準備
- 人件費増加分の収支シミュレーション
- 業務委託への切り替えを検討する場合は「偽装請負」にならないよう注意
- 賃貸管理のBM(ビルメンテナンス)業務の外注比率の見直し
取適法(取引デジタルプラットフォーム消費者保護法)の改正
オンラインプラットフォームを通じた取引の消費者保護が強化されます。不動産業界でも、ポータルサイトを通じた物件掲載や、オンライン内見・IT重説が一般化している中、プラットフォーム事業者の責任範囲が明確化されることは大きな変化です。
不動産テック企業やポータルサイト運営会社は、掲載情報の正確性確認体制の強化が求められます。おとり広告や虚偽情報の掲載に対する規制も実質的に厳しくなるため、仲介業者も物件情報の管理をより一層徹底する必要があります。
その他の注目すべき2026年法改正
建築基準法・省エネ基準の強化
2025年4月から新築住宅の省エネ基準適合が義務化されましたが、2026年にはさらに既存建築物の省エネ改修に関するガイドラインが強化されます。不動産投資家にとっては、築古物件の競争力低下や、リノベーション費用の増加として跳ね返ってくる可能性があります。
電子帳簿保存法の完全義務化への対応状況
2024年1月から電子取引データの電子保存が完全義務化されていますが、実態としてはまだ対応が不十分な中小企業・不動産業者が多いのが現状です。2026年の税務調査では、電子帳簿保存法の対応状況が重点的にチェックされることが予想されます。
空家等対策特別措置法の改正効果
2023年に改正された空家法により導入された「管理不全空家」制度の運用が各自治体で本格化しています。特定空家だけでなく、管理不全空家に指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が最大6倍に跳ね上がります。相続した空き家を放置している方は、早急な対応が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続登記の義務化に違反したら本当に罰金を取られるのですか?
法律上は「10万円以下の過料」が定められています。現時点では法務局から催告書が届き、それでも対応しない場合に過料が科される流れとなっています。2027年3月末の経過措置期限に向けて、法務局の対応も厳格化していく見込みです。まだ対応していない方は、まず相続人申告登記だけでも行いましょう。
Q2. 住所変更登記は自分でできますか?
比較的簡単な手続きのため、自分で法務局に申請することも可能です。ただし、物件が複数ある場合や、過去に何度も転居している場合は、戸籍の附票や住民票の除票の取得が必要になるなど手間がかかります。行政書士や司法書士に依頼すれば、数千円〜数万円程度の費用で確実に対応できます。
Q3. カスハラ対策の義務化はいつから施行されますか?
2026年中の施行が見込まれていますが、具体的な施行日は今後の政省令で確定します。施行前であっても、すでにパワハラ防止法(2022年4月全面施行)との関連で、企業にはハラスメント防止の一般的義務があります。早めの対応が得策です。
Q4. 社会保険適用拡大で不動産管理会社のコストはどれくらい増えますか?
対象となるパート・アルバイト1人あたり、社会保険料の会社負担分は月額1.5万〜3万円程度増加するのが一般的です。従業員数や給与水準によって異なりますが、10名が新たに対象となれば年間180万〜360万円のコスト増となります。
Q5. 空き家を相続したが、どこに相談すればいいですか?
まずは相続登記について司法書士、空き家の活用・売却については不動産業者、相続税や固定資産税については税理士、行政手続きや各種届出については行政書士に相談するのが基本です。最近はワンストップで対応できる士業連携サービスも増えています。
Q6. 2026年の法改正で不動産投資にはどんな影響がありますか?
登記義務化による所有者情報の透明化は、不動産市場の流動性向上につながります。一方、社会保険適用拡大による管理コスト増、省エネ基準強化によるリノベーション費用増加は、利回りを圧迫する要因です。物件取得時には、これらのコスト増を織り込んだ収支計画が不可欠です。
2026年法改正への対応チェックリスト
- ☐ 相続登記の未了案件がないか確認(期限:2027年3月末)
- ☐ 所有不動産の住所・氏名変更登記が必要か確認(2026年4月施行済み)
- ☐ カスハラ対策マニュアルの策定・研修の実施
- ☐ 公益通報窓口の設置・運用体制の整備
- ☐ 社会保険適用拡大の対象者洗い出しと手続き準備
- ☐ 電子帳簿保存法への対応状況の再確認
- ☐ 管理物件・所有物件の省エネ基準適合状況の確認
- ☐ 空き家・遊休不動産の管理状況と固定資産税特例の確認
まとめ|2026年は「対応の年」、先手を打つことが最大のリスク管理
2026年は、不動産・労務・コンプライアンスの各分野で大きな法改正が同時に動く年です。「知らなかった」では済まされない義務化・罰則付きの改正が多く、対応の遅れがそのまま経営リスクに直結します。
特に不動産を所有している方や不動産関連ビジネスに携わっている方にとっては、登記義務化・省エネ基準・空家法改正・カスハラ対策など、対応すべき項目が山積しています。一つひとつは小さな手続きに見えても、放置すれば過料・行政処分・訴訟リスクに発展する可能性があります。
自社だけで全てに対応するのは難しいケースも多いでしょう。行政書士・司法書士・弁護士・税理士・社労士など、それぞれの分野の専門家と連携しながら、計画的に対応を進めることをおすすめします。
「何から手をつければいいか分からない」という方へ
まずは不動産登記と相続の状況整理から始めましょう。行政書士は相続関連の書類作成や各種届出の代行、許認可手続きのサポートなど幅広く対応できます。期限が迫っている手続きもありますので、早めに専門家へご相談ください。初回無料相談を実施している事務所も多いので、まずは気軽に問い合わせてみることをおすすめします。

