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【ドローン用語解説】航空法

2026 4/04
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用語解説
2026年3月3日2026年4月4日
航空法が規制するドローンの飛行の画像

【航空法の概略】

航空法(昭和27年法律第231号)とは、国際民間航空条約に準拠し、航空機の航行の安全や障害の防止を図りつつ、航空の発達と公共の福祉の増進を目的とする法律である。 平成27年(2015年)以降の度重なる法改正を経て「無人航空機(ドローン)」に関する章(第11章)が新設され、現在では機体登録制度、機体認証・操縦者技能証明(ライセンス)制度、そして飛行禁止空域・遵守すべき飛行の方法を包括的に規定する、いわば「ドローンの空の交通ルールの大憲章」となっている。


1. ドローンとの関係において、なぜ航空法が重要になるのか

航空法が重要である理由は、この法律がドローンビジネスにおける「生殺与奪の権」を握っているからである。

航空法では、重量100g以上のドローンを「無人航空機」と定義し、航空機の安全や地上の人・物件への危害を防ぐため、特定の空域(DID・人口集中地区の上空、空港等の周辺、高度150m以上など)や特定の飛行方法(夜間飛行、目視外飛行、第三者から30m未満の飛行など)を「特定飛行」として原則禁止している。

これを無視して無許可で飛ばせば、50万円以下の罰金などの刑事罰が科され、企業のコンプライアンスは一瞬で崩壊する。 しかし、法学的な本質はそこではない。以前の解説でも触れた通り、航空法の真の機能は「禁止」ではなく「禁止の解除(許可・承認)」にある。 自らの運航体制が安全基準を満たしていることを論理的・工学的に立証し、国土交通大臣から許可・承認をもぎ取ることができれば、それは他者が容易に参入できない高難易度エリア(都市部や長距離目視外など)で独占的にビジネスを展開するための「最強のライセンス」に変わる。航空法を読み解く能力こそが、空のビジネスを合法的に成立させる絶対条件なのである。


2. 航空法の他にも、ドローンに関連する法令としてはどのようなものがあるのか

事業者は「航空法の許可さえ取ればどこでも飛べる」と錯覚しがちだが、現実の空には以下のように他省庁が管轄する強固な「法的バリア」が幾重にも張り巡らされている。これらをクリアせずに現場へ向かえば、即座に法的な頓挫を迎えることになる。

① 小型無人機等飛行禁止法(警察庁管轄) 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、外国公館、防衛関係施設、原子力事業所、対象空港などの「国の重要施設」と、その周囲おおむね300mの地域(対象施設周辺地域)の上空での飛行を絶対的に禁じる法律である。 航空法の定義とは異なり、この法律では重量100g未満のトイドローン等も一律に規制対象となる。航空法の許可を保有していてもこの法律の規制は免除されず、違反すれば警察官による機器の退去・破損命令等の実力行使や、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金という重い罰則が待っている。

② 電波法(総務省管轄) ドローンの操縦やカメラの映像伝送(FPVなど)には必ず電波を使用する。日本国内では電波法令に基づき、技術基準適合証明(技適マーク)を受けた無線設備を使用しなければならない。また、長距離通信や高画質伝送のために5.7GHz帯の無人移動体画像伝送システム等の高出力電波を利用する場合は、陸上特殊無線技士の資格取得や無線局の開局(免許)が必須となる。無免許・違法電波での運用は電波法違反に直結する。

③ 民法(土地の所有権) 民法第207条は「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定めている。ドローンが他人の私有地の上空(所有権の利益の存する限度内)を無断で低空飛行すれば、不法行為責任(民法709条)に基づく損害賠償や飛行差止請求のリスクを抱えることになる。

④ 公物管理法(道路交通法・港則法など) 地上のインフラを管理する法律もドローンに牙を剥く。公道上を離発着場所として使用する場合や、道路の一般交通に著しい影響を及ぼすような低空飛行・作業を行う場合には、道路交通法第77条に基づく「道路使用許可」を所轄の警察署長から得なければならない。また、港湾や海域での飛行には港則法や港湾法、海上交通安全法に基づく許可や届出が必要になるケースがある。

⑤ 個人情報保護法 ドローンのカメラにより第三者の顔や住宅の内部(プライバシー)が撮影され、それを本人の同意なくインターネット上等で公開する行為は、個人の権利利益を侵害するおそれがある。総務省が定めるガイドライン等に沿った適切な情報の取り扱いが求められる。

⑥ 地方自治体の条例等 国の法律とは別に、各都道府県や市区町村が独自の条例により、都市公園や観光施設等の上空におけるドローンの飛行を制限・禁止している場合が多々ある。

このように、ドローンを空へ解き放つためには、航空法という「空の法律」だけではなく、警察、総務省、自治体、そして地権者といった「地上の法律と権力」が引いた境界線を同時に突破する、極めて高度なリーガル・ナビゲーションが不可欠なのである。

この記事の執筆者:小川洋史

行政書士・不動産業

千葉県茂原市の行政書士・不動産業者。空き家問題・農地転用・ドローン飛行許可申請・相続など幅広い分野で活動。

関連投稿:

  1. ドローンの法律学シリーズ第3回:【無人航空機の定義】100gの境界線:法網をくぐり抜ける機体と、法に縛られる機体
  2. 【ドローン用語】DID(人口集中地区)
  3. 【ドローン用語】ペイロード / ペイロード搭載飛行(ペイロード飛行)
  4. 【用語解説】気体密度(Air Density / ρ):ドローン飛行許可申請において「空気の重さ」を無視してはならない理由
用語解説
ドローン 航空法 行政書士
航空法が規制するドローンの飛行の画像

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